「この道はいつか来た道」…引き返すのは今だ
2020年 11月 07日
学術会議…何が問題か私なりに書いてみます
■話をそらすな
「既得権益」「共産党が支配している」…
インターネットはもとより国会答弁でもこんな言葉が踊っています。そもほもは総理大臣がルールを破り人事に介入したという大問題なのに、そのことは棚に上げて嘘っぱちで学術会議をバッシングしたり、「こんなことよりコロナや政策論議を」と野党を攻撃して、問題の本質を明らかにさせないような意見があふれている。ちなみに「既得権益」って10億円の予算がついているとはいえ会員のみなさんは無給。まさに日本社会、国民生活の向上のために学問研究をして頂いているわけです。共産党がどう支配を?仮に赤旗にインタビューが掲載されたことがあるというなら、先週の日曜版の広瀬アリスさん、秋吉久美子さんは??
まあ、だいたいこういうときは、時の政権が重大問題だととらえ、早く火を消したいと思っていることの裏返し。つまり徹底的に問題を掘り下げないといけません。
■薬害エイズを思い出す
個人的には今度のことで1990年代に起こった薬害エイズ事件を思い出しました。
安部英(あべたけし)
医師であり医学博士。帝京大学の副学長で血友病の権威。1980年代は厚生省のエイズ研究班の班長を務めた。
出血した場合に止まりにくい血友病。出血したときに血液製剤が使われる。
当時、輸入の非加熱製剤の危険性は指摘されていたにも関わらず、
安部氏が恫喝まがいに加熱製剤(クリオ製剤)を拒否したり、安全だと主張するなどして
結果的にHIVウィルスに汚染された輸入の非加熱製剤が使われ、死亡した人まで出ました。
血液製剤を扱っていたミドリ十字という会社と安倍氏との「緊密な関係」もあったといわれています。
真相はハッキリとしないけれど(お金が動いたのか)、何等かの理由で科学、事実が歪められ犠牲者が出た事実は消えません。
■権力者による妄言が流布されている今だからこそ
「コロナはただの風邪」「イソジンが効く」「民度が違うから日本は犠牲が少ない」…
いまだって、世界でも日本でも権力者が科学に基づかない妄言を吐いています。
今度の人事介入によって、学者、研究者が時の政権に忖度したり、いいなりになったらどうなるでしょう?
圧力に屈して「黒」を「白」といったり、トランプや麻生の妄言をウソの理屈でもっともらしく演出する研究者がテレビに出始めたらどうでしょう?
11月7日の共産党の志位委員長の国会の予算委員会質問では、
戦前の学術研究会議(学術会議の前身)が、科学者の戦争協力への総動員体制のもとに置かれたことが明らかにされました。
戦前の日本、侵略戦争とファッショへの道への分水嶺になったのが滝川事件だったことはいうまでもありません。
国の最高権力者が気にくわない者を切るというなら、日本中にそのムードが広がる。こうして軍国主義、全体主義は始まっていく…まさに菅首相がいま行っているのは、過去の誤った道です。(ちなみに前述の安部英氏は戦前、海軍軍医で人体実験を行った731部隊の関係者ともいわれている)
■勝手に憲法15条の解釈をかえるな
もう1ついいたいのは、菅首相が繰り返している
「憲法15条1項との関係で、推薦された方々を必ずそのままに任命しなければならないことではない」というくだりの欺瞞さです。
では憲法15条1項を以下引用します。「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」
つまり公務員を選ぶのは主権者、国民の権利だってことをいってるのであって
どう解釈すれば内閣総理大臣に任命権があるという規定になるのでしょうか?
これともう1つ、菅首相が「呪文」「壊れたレコード」のように繰り返すのは「人事なので答弁を差し控える」というやつ。
冗談じゃありません。公務員を選定・罷免する権利を有するのは主権者・国民なのであれば、
その国民の代表たる国会議員の質問に答えないなど重大な背信行為であって、それこそ憲法15条違反であることは明白です。
以上、つらつらと長文書いてしまいました。
昨日は人文科学系226学会が共同声明を出しました。多くの学者のみなさんも立ち上がっています。
このたたかいに勝利し、推薦通りに任命し直させて、民主主義、学問の自由を守り、
さらに強く発展させるために私もがんばります。次の総選挙は文字通り自由と民主主義をかけた選挙戦となります